大原の改修現場のキッチンについて。
このカウンターは既存の物の長さを詰めて再塗装を行い、再利用している。
この作業は実際に解体を行うまで、どのように作業を進めるかが細部まで読めない。
カウンターはきれいに取り外せるのか、取り外せたとしてもきれいに切断できるのか。
実際にやってみると、偶然にもそれは可能であった。
代えのきかない材料に加工の手を加える瞬間は、心理的圧力がかかる。
重厚感のあるカウンターだが、手前の框は無垢材で、上面はベニヤに突板張りという構成である。一人でも持ち上げられる重量だ。
断面の写真を撮り忘れたのが悔やまれるのだが、改修工事を自分でやるときには撮影をよく忘れる。
これはラワンベニヤによるフラッシュ戸の取っ手で、IKEAで購入した品物である。
安価であるが、良い形をしている。
エンボス加工が施されているステンレストップが照明を反射している様子。
シゲル工業製である。(菅沼)
先日完了した大原の改修現場の記録。
このキッチンを40年前に作ったのは船の内装工事をしている大工だったそうだ。
状態維持のために数々の修繕を行ってきた形跡が残るこの家の中でも、ここは形状を維持していきたい部分である。
しかし左側の写真にあるように、「にじりぐち」のような出入口しかないこのキッチンの使い勝手はあまりにも不便なので、どうするか考えた結果が右の写真である。
流し台も丸ごと作り変えた。
配管のやり直しのために床に穴をあけるところから工事は始まった。
既存のチーク突き板張りベニヤの質感に合わせるために、ラワンランバーコア材を使用して、塗装をしている。
洗面所の改修箇所は傷んだ洗面台のみならず、床・壁とも下地から交換となった。
洗面台は色々なデザインが考えられる部分であるが、新しい洗面台は施主の希望であっさりした既製品となっている。
物入れはラワンランバーコア材に塗装である。
既存のライオン。
顔をきれいに掃除してある。
浴室にいる。(菅沼)
リフォームでは既存の雰囲気になるべく違和感なく仕上げたい。
後ろの壁が既存の壁で面材はチークの突板を塗装したもの。
手前が新規にラワンランバーで製作し塗装したものでキッチンのサイドパネルとして使用します。
端材で色を試し塗りしながら調整していきます。
塗装の技術で約30年前に仕上げられた壁と巧く調和させることが出来ました。(光治)
和室の砂壁(右上)に雨漏りの跡があり、直して欲しいとの依頼。
補修の方法は3通りあります。
①一度砂壁を剥がし、中塗り、仕上げ
②既存の砂壁上にラスボードを張り、仕上げ
③既存の砂壁に直接専用の塗料で仕上げ
既存の壁の状態や予算を考慮して提案します。
今回は③の方法を選択しました。
ヒビや凹みをパテで補修してから刷毛とローラー一度塗ります。
一日乾かし、アクが出ていないか確認します。
雨漏りの跡など色むらが出ないように工夫しながら仕上げていきます。
この辺りが職人の経験が活かされるところでしょう。
仕上がりは見事です。(光治)
「木材の劣化」とは何か?
木耐協が定める「耐震診断法」では、「木材の劣化」という判断項目がある。
劣化の程度を調査員が判定するのだが、ここで「ドライバーが簡単に刺さる」という具体的な判断の基準が示されている。
それを実際にやってみた。
これは私たちの事務所で現在改修工事中の現場の、洗面所の床の大引きである。
一見すると、何も劣化していないように見える。
だが、解体撤去して二つに切断してみると、このようにシロアリの食害を受けていることが判明する。
全体にパサパサとしていて粉っぽく、手に持った感じが軽い。
実際にドライバーを刺してみると、このように簡単に突き刺さる。
このようになった原因は、隣の浴室から来る湿気と、床下換気の不足が考えられる。
家を長持ちさせるためには何が必要なことなのか、このような実例から学ばなくてはならない。(菅沼)