湖畔荘の水周り改修工事が竣工した。
脱衣室から見た、大きい方の浴室。
天井はウレタンクリア塗装済の杉羽目板。
浴槽への落とし込み水栓には、間柱(WW)で作った木製のカバーを掛けた。
お湯をチョロチョロと出すと、温泉が湧き出ているような感じになる。
こちらは小さい方の浴室。
女子トイレ。
床はマットな質感のクッションフロア。
女子トイレの洗面器と、男子トイレ。
小さい方の浴室に付属する脱衣室。
床は耐久性を考えて、クッションフロアとしている。
こちらは大きい方の脱衣室。
階段下に拡張して棚を設け、隣接している納戸へ部屋を更に拡張している。
最も奥に置かれた照明器具で、雰囲気が作られている。(菅沼)
浴室の器具を取り付けている。
シャワー水栓を取り付けた後、鏡を取り付けるためのアンカーを打っている様子。
今回の工事で最も心配だった部分がここ。
24mm厚合板+FRP防水+ラスモルタル下地+タイル張り(合計約70mm)の分厚い浴槽の壁に、どうやって追い焚き循環金具を取り付けるか?
まずは下地として、タイル仕上がり面まで合板で出っ張らせた部分を作る。
取り付け部分の後ろの合板は予め切り抜いてある。
次に、なるべく平らにFRP防水面を作ってもらう。
循環金具の中で最大の挟み込み厚さ50mm用を選択し、この部分を挟み込む。
循環金具の裏側のパッキンの様子。
この黒いパッキンがどれだけFRP防水面に密着するかが最大の課題である。
循環金具の裏側の基礎には、作業できるだけの開口が必要である。
取り付けた後、浴槽に水を満たして漏水の有無を確認する。
漏水が無いことを10分以上待って確認した。(菅沼)
黒のフラッシュ戸が現場に届いた。
職人が建具を吊り込み、金具を取り付けていく。
トイレブースは、SPF2×4材で組んでいる。
この後、SPF材には塗装を施して、ドアの色との調和を図った。(菅沼)
浴室とトイレが改修中では、当然ながら宿は営業出来ない。
空いた時間を使って、改修している水周りの内壁漆喰塗りと、傷んだ外壁材の張替えをオーナーのDIYで施工した。
漆喰を練る。
養生をして、塗る。
水周りはスペースが狭く、細かい壁が多い。
終わると雰囲気が一変する。
古い板を剥がすと、防水紙がなく、板を間柱に直接張ってあった。
まずはタイベックを張り、胴縁を取り付ける。
施主が塗装した12×180の杉板を30mmずつ掛けながら張り上がっていく。
長年の地盤の沈下で基礎が傾斜しているため、水平を出して確実に合わせていくことが難しかったが、施主はDIYに慣れていることもあり、あっという間に仕上げてしまった。(菅沼)
タイル下地の工程の様子。
トンボにメタルラスを取り付けたところ。
タイルと下地モルタルは、壁にこのトンボで取り付いていることになる。
モルタルの厚みは25mm前後。
数回に分けて厚みを増していく。
はじめはメタルラスが浮き出ていて、見える。
浴槽立ち上がりの部分に板を当てて、厚さ方向の定規としている。
最後には定規で平らに均して、櫛目を付けて接着性を増す。(菅沼)
FRP防水が完了した。
これはラス網固定用のトンボを付ける前の様子。
ガラスネットに入っている色付きの繊維が緑色になっていて、ガラスネットが入っていることが識別できる。
配管貫通部分の様子。
左下は追い焚き循環金具が取り付けられる出っ張り部分の様子。
モルタル下地とタイル厚文の40mmを出っ張らせている。
サッシ取り付け部分の防水の様子。
出入り口のサッシは先付けとして、防水層を被せている。
この場合、サッシは取り付けやすいが、下端は望ましい重なりと逆になる。
このあと、ここにウレタンコーキングを盛って、防水層とアルミサッシの密着を図った。
トンボを付けたところ。
タイルの重みが掛かるので、取付けの密度はかなり濃い。(菅沼)
浴槽の下地合板には24mm厚の物を選択した。
タイル張り仕上げなので、水圧による変形をなるべく抑える必要がある。
基礎コンクリートが立ち上がっている部分の下地は、30×40を割いて、接着剤でコンクリート面に接着する。
シャワー水栓が付く壁の裏側の様子。
間柱には2×4材を使っている。
シャワー水栓が付く側。
浴槽内の追い焚き配管が付く部分の裏側の様子。
追い焚き循環金具の部分は、一番悩んだところである。
エプロンの骨組の様子。
2×4材で組んでいる。
これが完成した浴槽の下地の様子。
浴槽落とし込み水栓は温水の単水栓である。(菅沼)
なぜ木下地を選択したのか?
施工のしやすさが一番の理由になる。
造形のしやすさ、材料の搬入のしやすさ。
もう一つは、軽いことが挙げられる。
解体で搬出したガラは2.5t。
地盤の沈下をこれ以上進めるのは出来る限り避けたかった。
浴室内の床の段差を作っている様子。
コンクリート平板の上に鋼製束、プラ束、木製パッキンなどで高さを調整して大引きを支えている。
浴槽の底、洗い場の床、脱衣場の床、と3つのレベル差がある。
もう一つの浴室の様子。
地盤の沈下で傾斜した廊下の床の高さに合わせて、各部屋の入り口の床レベルを決めた。
床が決まると、先が見えてくる。(菅沼)
解体が完了し、床組と同時進行で給排水の配管が行われる。
これはトイレの配管作業の様子。
床下のスペースが無いため、床組の前に行っている。
床は、かつては土間コンクリート下地のモザイクタイル貼り。
当時としてはよくある仕上げ方だ。
こちらは浴室の配管の様子。シャワー水栓用配管、浴槽落とし込み水栓用温水配管、洗い場排水管、浴槽内排水管、などが見える。
浴槽と洗い場はタイル張りで仕上げる。
下地として選択したのは、コンクリートブロックではなく、合板下地のFRP防水である。
洗い場と浴槽床の段差が分かる。
トイレ内の配管の後、床組みを行う。
こちらの床はCF仕上げなので、12mm構造用合板の上に12mmラワン合板を重ねる。
浴室1、脱衣室2、浴室2,男子トイレ、女子トイレの順に奥へ続いている。(菅沼)
浴室解体後の軸組の様子。
水で常に湿っていたであろう土台は、室内側が腐朽してなくなっていた。
芯は残っていたため、壁の重量は支えられると判断した。
交換のために軸組を傷めることを避けた。
入り口サッシの下にも土台が周っていた。
こちらの腐朽は浴槽横より進んでおり、手でつかむとボロボロになるほどである。
サッシの交換に伴い、こちらは注入土台に交換する。(菅沼)
初期の衛生陶器には芸術性のような何かを感じる。
これは男子小便器につながっていた自動サイホン式洗浄装置。
「Toyotoki」のロゴを調べてみると、昭和37年~44年に採用されていたらしい。
今から48~55年前ということになる。
これが自動的にサイホンを起こすM字管である。
これを最初に知ったのは、私がこの業界に入って間もなくの頃に読んだ『設備読本』の記述による。
この素晴らしい発明に、当時会社員だった私は朝の通勤電車の中で感動した。
これが、久しぶりに本棚から引っ張り出してスキャンしたそのページ。
今でも感動する。
このタンクは廃棄物として捨て難く、事務所に持ち帰って自動サイホンを実際に起こしてみた。(菅沼)
民宿の水回り改修工事の記録。
この建物は築50年近いと考えられる民宿である。
これから浴室2箇所・トイレ2箇所・脱衣室2箇所の改築を行う。
既存の浴室の様子。
レトロ感があり懐かしいのだが、イマドキの民宿の浴室として整備することが目標である。
男女それぞれのトイレ。
洋式便器は新しいので再利用する。
浴室の解体を始める。
解体では分別が重要である。
モルタルとタイルは処分費が異なるので、タイルをまず剥がす。
衛生陶器とタイルはガラスの廃棄と同じ扱いになり、安定型最終処分場へ行く。
アスファルトルーフィング付きのモルタルは管理型最終処分場へ行くため、処分費が高額である。
これらの廃棄物を最終処分場へ自ら持ち込むわけではなく、中間処理施設へトラックで搬入する。(菅沼)