建物を長持させるための屋根や外壁などの仕様や手法についてまとめています。
屋根のかたちは雨水が切れやすい勾配屋根としています。
谷を作らないことを優先して、切妻や片流れなど単純なかたちにしています。
このような屋根を掛けるためには、平面計画から整える必要があります。
雨漏りリスクの比較的高い外壁と外部建具に雨がなるべく当たらないように、軒・ケラバを3尺(910㎜)以上出すことを基本としています。これが意匠的な特徴にもなっていると考えます。
雨漏りと結露を防ぐために外壁・屋根共に通気層を確保しています。
建物躯体として作られたバルコニーからの漏水事故はとても多いという印象があります。
特にルーフバルコニーの漏水は多く改修も大変なので採用していません。
バルコニーは、躯体と構造や雨仕舞いを一体化せずに縁を切ったかたちで取り付けています。
具体的には、アルミ製の既製品を建物の外装を完成させてから取り付ける、という方法です。
手すり壁を木板張りにすることで、既製品の無機質な雰囲気を改善する工夫も採用しています。
(アルミ製バルコニーのメーカー保証を受けられなくなります。)
外壁は木板かガルバリウム鋼板としています。
最近はガルバリウム鋼板のワンランク上のSGL鋼板を使うこともあります。
ガルバリウム鋼板は沿岸地を除くと実質30年メンテナンスフリーと言われています。
SGL鋼板であればさらに長期の耐久性が期待できるでしょう。
木板は割れや節抜けなどが生じた一部の材料を交換すれば30年はもつでしょう。
木板とガルバリウム鋼板はシーリング箇所が少ないのも大きな利点だと考えています。
塗装する場合、塗料に防腐剤を含むキシラデコールを推奨しています。
塗装は南面は5年程度で、そのほかの面も10年程度で褪色するので、美観上は5〜10年に1回塗り替えをお薦めしています。
木板張りを1階部分だけに留めれば足場が不要なので建て主が自分で塗れます。
ちなみに無塗装であっても耐久性が大きく変わることはありません。
外壁には雨が掛かりにくいように軒を3尺以上出しています。
その上で10〜15年に一度は点検して錆びている箇所がないか、シーリングが切れている箇所がないかを確認すると良いでしょう。
海の近くを除けば、ほとんど場合、30年程度は錆は見られません。
メッキ面を自己修復する性質を持つSGL鋼板であればさらに錆びにくいでしょう。
強塩害地域では外壁に付いた塩を雨で流す方が錆対策的には良く、この点だけを考えれば軒の出が0の方が良いということになります。
窓周りなどのシーリングは10年経過したころから劣化が顕在化します。
撤去して打ち直すのが基本ですが、それが困難な部位では既存シーリングの上から増し打ちして補修することになります。
最近普及しつつある超耐候タイプのシーリングはガルバリウム鋼板と同様の耐用年数が期待されているので、増し打ちも不要になると考えられます。
まだ使ったことはありませんが、採用を検討しています。