茂原の駅前にある商店街がシャッター通りになっているのは他の地方都市でも見かける様子と同じだが、よく見ると歴史を刻んだ面白い建物が発見できる。
これは商店街から一つ通りを外れたところにある建物。
現在は空き家になっているのか、外壁の一部がはがれ落ち、人の気配がない。
木製の外壁がいい感じに経年変化している。
プロポーションも良い。
近寄ってみると、木製の外壁は羽目板(おそらく杉)で作られていることが分かる。
羽目板は目透かしのある本実(ほんざね)加工がなされていて、実(さね)をタッカー留めする内装仕上げとは固定の仕方が異なり、フロアネイルや通常の鉄釘を正面から使用しているようだ。
それでも釘を抜いてしまうほどの変形を繰り返しているのが分かる。
外部に板を使う難しさがここにある。
木の経年変化に意匠的にも構造的にも上手く対応できているかどうかは、設計者の力量に直結している。(菅沼)
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