茂原の家・その3(2階造作・その他)

茂原の家の記録・その3。

この家の外壁の層構成は、メンテナンスの容易さからガルバリウム鋼板を施主が選択したところから始まる。

 

法22条地域に建つため、延焼のおそれのある範囲にある外壁には準防火性能が要求される。

ガルバリウム鋼板の外壁の場合は石膏ボードの下地を設け、グラスウール充填または石膏ボードを内壁に張ることでこの要求を満たすことができる。

『ガルスパン』(アイジー工業)では個別認定に上記の室内側の束縛がないものが存在する。

この家の断熱材は施主の希望で羊毛を使うため、これは好都合であった。

室内側の制限がないため、『MOISS(繊維補強ケイ酸カルシウム板)』(三菱マテリアル建材)を用いて真壁とした。

 

外壁下地に石膏ボードを張ることは、施工上の問題を抱えることになる。

外壁が仕上がる前に降雨によって濡れた場合を考えると、防水ボードを張るべきであろう。

今回は、『タイガーグラスロック』(吉野石膏)を採用し、耐力壁も兼ねるものとした。外壁の筋違いがなくなるため、ウール断熱材の充填が若干楽になる。グラスロックが雨でぬれることがあったが、乾燥後の品質に変化がないことが確認できた。

このグラスロックは大変固い材料で、高圧のターボドライバーで指定の41mmビスを打ち込むのだが、一発では頭が完全にもぐらずにインパクトドライバーで増し締めをしなければならなかった。

 

2階は階段室を含む吹き抜けで1階とつながっている。

冬にはこの吹き抜けを『ツインカーボ』で塞ぎ、階段室も1階に設けた建具で仕切る。

 

1室空間の2階の内部には、筋違いを隠す壁がある。

この壁をきっかけに使い方を決めることになるため、2階を歩き回っているとあれこれ想像を掻き立てられて、楽しい部屋になったのではないかと思う。

 

木製建具・表具は極めてシンプルなものとなっている。(菅沼)