このブログを訪問して頂いた方に、私からも本の紹介を致します。
先日スタッフからUPされた『リフォームマニュアル』(写真左)は、写真右の『リフォームハンドブック2011』をリフォームしたものです。
事例は170から120へと厳選しています。
その代わりに、各事例に工事管理のポイントを付記していて、よりリアルな臨場感を出そうと努めています。簡潔で分かり易い文章を大菅力氏がまとめています。
今回、2011年版のリフォームに監修として参加させて頂き、家のリフォームと同じ感覚を持ちました。それは、「元々あったものを直す」という作業にはいつも「どこまで直すか?」という自問自答が付いて回る、ということです。
元になった本の例題を実際に私が受注したら,どのように現場を進めようと考え、どのように見積もりをするだろうか?という視点で注釈を入れました。
紙面に載っている簡単な図面からリアルな現場を想像するには、数多くの現場を経験しなくてはならないはずです。しかも、経験にはいつまでたっても「これで十分」というところがありません。受注した時点での担当者の実力が全てです。
リフォームは新築と違い、「やってみなければ分からない」という部分が存在します。見えない部分の補修が代表例です。見積もり段階では様々な仮定が必要であり、施主への事前の説明が重要です。ここが最も経験を要する部分でしょう。
このような本で難しいのは、参考見積りとして載せている金額です。
これについては今回は最小限の加筆に留めています。
積算者が違えば、見積書も違います。
ですが、価格競争に晒されているので(市場が機能しているので)、総額ではほぼ同じになるという現象が起こります。
見積もりの基本は「材料の値段」「労務費」「工務店経費」の3つが計上されているものと考えれば、とんでもなく高額な見積書は見抜けるはずです。そのためにはおおよその品代と労務内容を理解する必要があります。
まずはその工事に直接関わる職種を知ることから始めなくてはなりません。
そのことを意識したコメントが入っています。
法律(国家権力)で決められた税金と違い、自由市場で行われている商売では「お金」の貰い方・支払い方にその人の人生観が出ると言っても過言ではないでしょう。業界に入って22年、設計事務所・工務店を経営する立場に立って5年が経過しますが、あらゆる業務の中で未だに最も難しいのが「見積もり」です。
現場で出た具体的な問題への対処も、人によって異なるでしょう。
出来上がった本を見ていると、「これでいいのだろうか?」と自問しながら赤ペンでコメントを入れていた日々を思い出します。
リフォーム工事と同じく、現時点での私の結論でいいのだと自分に言い聞かせながら真新しい本を眺めています。(菅沼)
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